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認知症とは~タイプ別の症状と予防方法

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認知症とは「脳」の細胞が死んでしまったり、はたらきが悪くなったりすることで、様々な生活上の困りごとが起きてくる病気です。

認知症と一口に言っても、認知症にはいくつかのタイプがあり、もの忘れ以外にも特徴的な症状があります。

日本は65歳以上の5人に1人は認知症になると言われており、もはや認知症は珍しい病気ではなくなりました。
また現在、要介護状態になる原因の1位は認知症です。認知症に関する正しい知識を持つことが介護予防にもつながります。

今回は認知症の種類と予防方法、認知症の人へどのように対応すればよいのか、わかりやすくお伝えします。

認知症の種類

認知症にはいくつかの種類がありますが、今回は代表的な認知症についてお伝えします。
実際にはもっと多くのタイプがありますが、そこまで専門的な診断のできる医療機関は多くありません。

まずは認知症の種類と症状について、大まかに知っておきましょう。

アルツハイマー認知症

認知症の約50%を占めます。脳にβアミロイドというたんぱく質が蓄積して、神経細胞のネットワークが壊れることで起こり、大脳皮質全体が徐々に萎縮していきます。
比較的早い段階から記憶障害、不安、うつ症状が現れます。

さらに進行すると、やる気がなくなってきたり、計画を立てて行動する能力が低下してくることも。
運動や感覚は保たれることが多く、病気が進行しても運動機能は保たれることが多いのが特徴です。

脳血管性認知症

脳出血脳梗塞などの病気によって脳の血管が障害されて起こる認知症です。
全体の約15%を占めると言われています。

脳の大きな血管が詰まってしまい、広い範囲で神経細胞が死滅。
初期から、頭痛や頭が重い、しびれ感、めまいなどの、体の症状を訴えるときもあります。
これは、初めは小さな脳梗塞であっても、繰り返し起こり、徐々に認知症の症状としてあらわれてくることがあります。

脳梗塞を起こした部位によって、症状が一定でないことが特徴です。

レビー小体型認知症

日本の小阪憲司(現横浜市立大学名誉教授)という人が1976年に発見し、1995年にレビー小体型認知症と名付けられました。
脳全体に、「レビー小体」というたんぱく質が集まった結果、起こる認知症です。

進行するとパーキンソン症状(前かがみの姿勢や突進歩行、小刻み歩行や手の振るえ)や幻視、睡眠障害などが現れることがあります。
男性の発症率が高く、女性の2倍。認知症全体の約15%を占めると言われています。

前頭側頭型認知症

脳の前頭葉と側頭葉に限局した萎縮がみられます。

記憶障害よりも、人格変化や反社会的な言動、衝動が特徴です。
例えば診察中に突然診察室から出て行ってしまったり、万引きをするなどの軽犯罪を犯すこともあります。

診断には問診を行い、前頭側頭型認知症の疑いがある場合には、アルツハイマーと区別するためにCTやMRIによって前頭葉や側頭葉前部に萎縮が認められるかを調べます。

その他

甲状腺疾患や水頭症などの疾患によって認知症のような症状が出る場合もあります。

認知症を疑ったら、まずは認知症以外の疾患が原因でないことを調べる必要があります。
検査には、もの忘れ外来や脳神経外科などを受診しましょう。

関連情報

https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_recog.html

認知症の予防方法

認知症は食生活などの生活習慣や脳を鍛えることで予防や進行を遅らせることができることがわかってきました。

認知症の予防にはどんな生活が効果的なのでしょうか。

生活習慣

食生活の改善  

バランスの良い食事を摂ることが大切です。特に認知症予防には肉より魚が良いとされています。
野菜や果物を多く摂取する他 塩分の取り過ぎは高血圧のもととなるので注意が必要です。

認知症予防のための食事についてはこちらの記事に詳しく書いていますので、参考にどうぞ。

saetomo.hatenablog.com

スポーツや運動で身体を動かす 

運動は全身の血行血流の改善につながり、脳の活性化が期待されます。

睡眠を十分に取り、規則正しい生活をおくる 

しっかりと朝に起床して、夜に十分な睡眠をとるという規則正しい生活を心がけることが効果的です。

アルツハイマー認知症の原因となるβアミロイドは睡眠中に排出されるとも言われていますので、睡眠時間を十分に確保することが予防につながります。

知的行動を増やす

文章を書く・読む・ゲーム・囲碁・麻雀・手芸など指先を使う活動は脳に刺激を与えることができるので効果的です。

人とのコミュニケーション 

人との会話やお出かけは非常に重要です。マンネリ化した日常からも開放されますし 自分の存在価値の確認ができたりなど脳に良い刺激を与えてくれます。
特に家族以外の人との交流は認知症予防には効果的です。

認知症になると意欲低下がみられ、自宅に閉じこもりがちになることも。
日頃から定期的に外出の機会を持って、他者と交流する習慣をつけておくと良いですね。

脳を集中的に鍛える

エピソード記憶」を鍛える

体験したことを記憶して思い出すようにします。
例えば、2日遅れ3日遅れの日記をつけてみる。家計簿をつける時、レシートを見ないでつけてみるなど。

「注意分割機能」を鍛える

複数のことを同時に行う時、適切に注意を配る機能です。
例えとしては、料理を作る時に一度に何品か同時進行で作る、効率の良い買い物の計画を立てるなど。

「計画力を」鍛える 

新しいことをするとき、段取りを考えて実行する能力です。
これは旅行の計画を立てたり、新しい料理を覚える、趣味を始めるなどがあります。

認知症の治療方法

残念ながら、現時点では認知症を治す薬はありませんが、アリセプト(ドネペジル)はアルツハイマー認知症およびレビー小体型認知症の症状進行を抑制する薬です。
認知症治療薬の中でも古くから使用されており、国内外とも大きなシェアを占めています。

認知症は脳が萎縮したり、脳細胞が死んでしまうことで起こります。本人のやる気や気合では治すことはできないことを理解しましょう。

認知症の方への対応方法

認知症になると、少し前の事を忘れる、道に迷う、人の顔がわからなくなるなどの症状が出ますが、感情は最後まで残ると言われています。

ストレスは認知症を進行させますので、間違いを否定せず、ゆっくりとおだやかな口調で話しましょう。
本人の自尊心を傷つけることは良くありません。大きな声を出したり、驚かせるとパニックになります。

短期記憶障害によって生活する上で困っていることがあれば、少しの工夫や声をかけるだけでできることもあります。

認知症の方への対応に悩んだら、自治体の介護保険課や地域包括支援センターへ相談しましょう。

こちらの記事も参考にどうぞ。

saetomo.hatenablog.com

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