介護食の作り方〜飲み込みに合わせた調理方法
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高齢になった家族が「最近食事の時にむせるようになった」「なかなか飲み込めない」といったことが出てきていませんか。
加齢による口腔機能や嚥下(えんげ)機能の低下によって、食べ物を噛んだり飲み込んだりすることが難しくなっているのかも。
今回は高齢者の噛む力や飲み込みに合わせた調理方法をお伝えします。
高齢者に多い誤嚥性肺炎とは
高齢者の死因に多い「誤嚥性肺炎」。
肺炎で死亡する人の約7割が75歳以上で、70歳以上の肺炎の約7割が誤嚥性肺炎となっています。
食べ物が気管へ入ると通常であれば咳き込んで異物を排除します。
しかし加齢によって飲み込む力や異物を出す力が低下するために食べ物がそのまま気管に残ってしまうことがあります。
気管に入った異物によって炎症が起こり、肺にまで達すると誤嚥性肺炎に。
なぜ飲み込めなくなるのか
加齢に伴ってさまざまな機能低下が起こりますが、咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)という食べ物を噛んだり飲み込む機能が低下することを「オーラルフレイル」といいます。
例えば、義歯が合わないために付けないでいるとしっかりと噛むことができず、柔らかい食べ物が増えていきます。
その結果、噛む機能が低下する負のスパイラルに。
しっかり噛むことは、脳にも刺激になり認知症予防にもなります。
噛めないことを放置せず、歯科受診しましょう。
また歯の問題だけではなく、人と話す機会が少なくなることで滑舌が悪くなることもオーラルフレイルの原因となります。
オーラルフレイル対策のための口腔体操|オーラルフレイル|日本歯科医師会
高齢者の嚥下機能の変化
嚥下機能が低下してきたサインとして以下の4つが見られるようになります。
水やお茶がむせるようになったり、固形の食べ物がいつまでも口の中に残って飲み込めなくなったら、食事の形態を変える必要があるかもしれません。
食事の形態を変える方法
それでは実際に食事の形態を変える方法についてみていきましょう。
市販の介護食品に用いられる「ユニバーサルデザインフード」の区分表を参考にするとイメージがつきやすくなります。
表にあるように、噛む力と飲み込む力によって食事の形態を変えることで、誤嚥を防ぐことができます。
とろみをつける(とろみ食)
水分などにむせがみられるようになったら、1番初めに試してみることは食べ物(味噌汁、お茶など)にとろみをつけることです。
今はドラッグストアなどでもとろみ剤を手に入れることができます。
とろみ剤は粉状になっており、水分の多い食べ物に混ぜるだけで簡単にとろみをつけることができます。
しかも味は変わりませんので、慣れると非常に手軽です。
とろみ剤 ヘルシーフード トロミパワースマイル 700g [介護食/介護用品]
食材をきざむ(きざみ食)
通常の食材の大きさでは噛んで飲み込むことができない時は、細かくきざんで食べやすくします。
刻む大きさは1cm〜2cm程度から5mmまで咀嚼力に合わせて変えていきます。
どんな人に向いてるのか
噛む力は弱くなっているが、飲み込む力や唾液の量は問題ない方に向いています。
きざみ食での注意点
きざみ食では食材を細かくカットするために、食中毒など衛生面に注意する必要があります。
また刻むことで食材がバラバラになりやすく、口の中でまとまりづらいので飲み込む力が衰えている場合には誤嚥の危険性が高くなります。
きざみ食でむせるようであれば、やわらか食など形態を変更しましょう。
食材をやわらかくする(やわらか食)
嚥下機能が低下している場合には食材を煮るなどやわらかくすることで、飲み込みやすくします。
食材によっては形が崩れやすくなりますが、普通食と同じような見た目で盛り付けると見た目も良くなります。
目安としては歯ぐきや舌でつぶせる程度にしますが、食べる人の咀嚼や嚥下機能によって調整しましょう。
食材をペーストにする(ミキサー食)
やわらか食でも食べづらくなってきたら、食材をミキサーにかけるか、やわらかく煮てから潰してペースト状にします。
噛む必要がないため、そのまま飲み込む事ができます。
ただしペースト状にすると食べ物の形がなくなってしまうため、何を食べているのかわからず、食欲低下につながることも。
また全ての食材を混ぜてしまうと、味が混ざって美味しくない場合もあります。
できれば食材ごとに盛り付けるか、ペーストにする前の盛り付けた状態を見てもらってから食べてもらうと、頭でイメージしながら食べることができます。
こちらの「ホット&ソフトプラス」は調理済みの食材に混ぜて加熱すると、室温で固まる固形化補助食品です。
温かいお粥を使えば加熱する必要がありません。温かいまま固まるので調理時間も短縮でき、見た目の良いゼリー食が手軽に提供できます。
介護食を作るための工夫
配食サービスを利用してみる
介護食を作るとなっても、どんなメニューをどう調理して良いのかわからないという場合には、高齢者向けのお弁当の配達サービスを利用してみることをおすすめします。
高齢者向けの配食サービスは「きざみ食」や「やわらか食」など介護食に対応しており、様々なおかずのバリエーションがあります。
介護食を作る参考にもなりますし、どのくらいのやわらかさが食べやすいのか試してみることもできます。
また介護食は手間がかかりますので、毎食用意するのも疲れてしまいます。
時々はお弁当を頼んで息抜きしましょう。
介護食のレシピを見てみる
最近はクックパッドなど介護食も手軽にレシピを見ることができますので、参考にして作ってみるのもおすすめです。
簡単に調理する方法なども掲載されていますので、日々の介護食に役立つと思います。
介護食での栄養バランスは
高齢になって食べ物を噛んだり、飲み込んだりする力が弱ってくると、食事をおいしく食べることができなくなります。
また「食事」という行動による脳への刺激も減少し、認知機能が低下する可能性も。
食欲がなくなると体重減少や体力低下につながり、身体機能の衰えもすすんでしまいます。
介護食だからといって、おかゆや麺類など食べやすい炭水化物ばかり取っているとたんぱく質やミネラルが不足しがちになります。
お肉や魚、野菜などバランスよく食べられるように調理方法を工夫していきましょう。
まとめ
今回は噛む力や飲み込みの状態に合わせた介護食の作り方についてお伝えしました。
誤嚥性肺炎の予防だけでなく、食事をしっかり食べることで体力・免疫力維持にもつながります。
バランスの良い食事はなかなか難しいですが、本人の好みに合わせた食材や調理法で少しでも美味しく食べてもらえると良いですね。