ラクナ梗塞はまだら認知症の原因?特徴と予防方法
健康診断で頭部のMRIを撮ったら「ラクナ梗塞」と言われたけど、「ラクナ梗塞って何?」「普通の脳梗塞とどこが違うの?」
今回はラクナ梗塞と認知症の関係や特徴、予防方法についてお伝えします。
ラクナ梗塞とは
ラクナ梗塞の「ラクナ」とはラテン語で「小さなくぼみ」という意味で脳の深い場所に発生する直径15mm以下の小さな脳梗塞のことです。
脳の奥には、太い血管から枝分かれした細い血管がたくさんあります。この細い血管の先が詰まるのがラクナ梗塞です。
特に高齢者や男性に多く発症する傾向があります。
ラクナ梗塞はダメージを受ける部分が小さいので症状が現れないことが多く、無症候性脳梗塞(隠れ脳梗塞)とも呼ばれています。
そのためラクナ梗塞が起こっていても気づかないことがよくありますが、放っておくと本格的な脳梗塞や脳出血を発症したり、認知症になるリスクが高くなります。
ラクナ梗塞と認知症の関係
ラクナ梗塞がたくさん起こり、脳の血管が徐々に詰まってくると、神経細胞に必要な酸素や栄養が送られなくなり認知機能(記憶、運動、感情など)に障害が出てくることがあります。
これが脳血管性認知症です。
脳血管性認知症は記憶障害が“まだら”に起こる「まだら認知症」とも言われています。
症状としては、記憶障害・歩行障害・注意力の低下・頻尿・麻痺・感情失禁などが現れます。
感情失禁とは、些細なことで突然怒ったり、泣いたり、笑ったりといった感情のコントロールができなくなることをいいます。
まだら認知症では「記憶力の低下が目立つが、理解力や判断力はしっかりしている状態」であるという特徴があります。
また記憶力においても、日によって差があったり、ある時から急に記憶力の低下がすすんだりといった傾向が。
初期症状としては頭痛やめまい、耳鳴り、手足のしびれ、つまずきや転倒、うつ症状などがみられることがあります。
これらの症状は高齢者ではよくあるため、老化のせいだと思われ見逃されがちです。
ラクナ梗塞の原因と予防方法
ラクナ梗塞の原因
ラクナ梗塞の原因は高血圧と言われています。
収縮期血圧が10mmHg上がると脳卒中罹患・死亡の危険度が男性では約20%、女性では約15%高まるという結果に。
高血圧が長期間続くと、穿通枝という脳血管の末梢に動脈硬化が起こりラクナ梗塞が発症しやすくなります。
また高血圧症以外にも糖尿病や慢性腎臓病の人の4割にラクナ梗塞が起こっていたという報告もあります。
ラクナ梗塞の予防方法
ラクナ梗塞の1番の予防方法は「生活習慣病にならない」ことです。
ラクナ梗塞の原因となる高血圧症や糖尿病、慢性腎臓病にならないような生活を心がけましょう。
具体的には以下の7つの点に注意が必要です。
- 塩分・糖分を取り過ぎない
- タバコを吸わない
- アルコールの飲みすぎに注意
- 適度な運動
- バランスの良い食事
- 年に1度は健康診断を受ける
- ストレスを溜め過ぎない
塩分・糖分を取り過ぎない
高血圧症の原因はいくつかありますが、その中でも「食塩感受性高血圧」という塩分を控えることで血圧を下げることができるタイプがあります。
塩分を多く摂ると血液中のナトリウム濃度が上昇、ナトリウムは水分と結びつきやすいので血液量が増えることで血圧が上昇するというメカニズムです。
食塩感受性高血圧の方は腎臓でのナトリウム排出機能が低下するために再吸収が生じた結果、血液中のナトリウム濃度が上昇し高血圧が発症します。
ところが、自分が食塩感受性タイプかどうかを調べる方法はありません。
血圧が高い方はまず塩分を控えてみましょう。
日本では高血圧症患者の約4割程度が食塩感受性タイプと言われています。
塩分を控える方法は以下を参考にどうぞ。
- 外食やコンビニ弁当を食べる機会が多い方は回数を減らす
- 減塩の調味料を使用する
- 出汁を活用して醤油や味噌などの調味料を減らす
- 麺類の汁は残す
- お酢などの酸味や香辛料を利用する
次に糖分の取り過ぎについてですが、糖分は炭水化物の中にも多く含まれています。
普段甘い物はあまり食べないという方も、ご飯やパン、麺類の食べ過ぎには注意が必要です。
その他にも、ミルク入りの缶コーヒーやジュースなど清涼飲料水にも糖分がたっぷり含まれています。
飲み物は糖分の入っていない水かお茶、コーヒーなどを取るようにしましょう。
タバコを吸わない
喫煙が体に良くないことは皆さんご存知かと思いますが、タバコを吸うことで血管が収縮し、動脈硬化を進行させます。
アルコールの飲みすぎに注意
アルコールは百薬の長とも言われ、1日1合までなら健康に悪影響は少ないと言われています。
アルコールを分解するためには水分が必要になります。
ですので、お酒を飲み過ぎると脱水状態になり血液がドロドロに。
その結果ラクナ梗塞を起こしやすくなります。
特に高齢者では脱水に気づきにくいため、普段から意識的に水分を取ることが大切です。
適度な運動
生活習慣病の予防には適度な運動をすることが効果的です。
運動で体を動かすと血圧が下がり、動脈硬化の予防にもつながります。
できれば週に3~4回程度、無理のない範囲でウォーキングやジョギングなどの有酸素運動とスクワットや腹筋などの筋トレを行いましょう。
バランスの良い食事
高血圧症や糖尿病の予防には塩分や糖分の取り過ぎに注意することはお伝えしましたが、健康を維持するためにはバランスの良い食事が最も重要です。
とはいっても、毎食バランスを考えた食事を取ることは難しいと思いますので、1日単位、1週間単位で食べるようにすると無理なく続けられると思います。
年に1度は健康診断を受ける
学生や会社に勤めている人は毎年健康診断を受ける機会があると思いますが、自営業やフリーランス、専業主婦、高齢者は自分で受ける必要があります。
少なくとも年に1度は健診を受けましょう。
ラクナ梗塞は高齢になるほど増加し、70歳以上では約30%にみられます。
しかし働き盛りの世代でも少ないわけではなく、60歳代で約25%、50歳代で約12%、40歳代でも約5%にみられます。
ただしこれは血圧が正常な人をふくむ平均値ですので、高血圧の方に限定すると各世代とも約2倍に増えることがわかっています。
長期間に渡って高血圧が続いている方やラクナ梗塞が気になる場合には一度MRIを受けてみると良いかもしれません。
ストレスを溜め過ぎない
過剰なストレスは心身にさまざまな影響をもたらします。
ストレスから飲酒量や喫煙本数の増加、過食などで、生活習慣病の発症や悪化につながることも。
またストレス自体が高血圧症や糖尿病の危険因子になることがわかっています。
ストレスを溜め過ぎないようにするためには、十分な睡眠と休養、バランスの取れた食事、適度な運動、規則正しい生活が基本になります。
また自分なりにストレス解消方法を見つけましょう。
興味のあることに挑戦した結果としてストレスが解消できたなら、それがあなたのストレスが解消方法と言えるでしょう。
まとめ
今回は知らないうちに進行するラクナ梗塞とまだら認知症についてお伝えしました。
ラクナ梗塞を放置していると重大な脳梗塞を起こすリスクが高くなります。
初めて脳梗塞を起こした人の中の2/3以上にラクナ梗塞の既往があることがわかっています。
まずはラクナ梗塞を早期発見し、適切な治療を受けながら生活習慣を見直すことが大切ですが、もしまだら認知症のような症状が出たら、早めに医療機関を受診しましょう。
保険適用外のシニア向け家事代行~アールメイドの特徴・口コミ
高齢になって掃除や買い物が大変になってきたけど、介護保険を利用した訪問介護の家事代行は何かと制限が多くて面倒。
保険適用外(自費)の家事代行なら、介護保険ではできないこともお願いできちゃいます。
家事代行のアールメイドなら、シニア向けのプランが用意されていて安心です。
今回はアールメイドの特徴や口コミをご紹介します。
アールメイドの特徴
アールメイドは東京に本社のある、株式会社アール・アソシエイツが運営する家事代行サービス事業所です。
創業20年以上のノウハウと3000件以上の作業実績があります。
安全・安心な事前打ち合わせと柔軟なスケジュール調整
打ち合わせからお試し、契約まで1人の営業が担当するため、情報の漏れがなく手厚いフォローが可能。
またトライアルコースの利用でも、通常であれば打ち合わせとトライアルを同日で行うところが多いですが、こちらは別日に設定されているのも特徴です。
全て自社雇用スタッフで外注は一切なし
アールメイドには現場で働く『キャスト』、顧客の要望を聞く『コーディネーター』、運営を行う『フロント』が一体となってサービスを行っています。
家政婦やヘルパー経験者が多く、豊富な経験を活かした確かな接客マナーで対応してくれます。
東京海上日動の物損保険、PL保険完備
物損保険やPL保険(生産物賠償責任保険)に加入していますので、万が一の事故でも保障がしっかりしています。
入会金、年会費、スペアキー預かり手数料は一切なし
アールメイドではサービス料金と移動費以外はかかりません。
また土日祝日や時間帯でも追加料金はかかりません。
対応エリア
対応エリアは以下の地域になります。
一部変更になっている場合もありますので、詳しくは公式HPでご確認ください。
対応エリア 東京都 東京23区(渋谷区/新宿区/大田区/世田谷区/品川区/千代田区/杉並区/豊島区/港区/文京区/目黒区/中央区/中野区/足立区/荒川区/板橋区/江戸川区/北区/葛飾区/江東区/墨田区/台東区/練馬区)・東京(国立市/小金井市/国分寺市/小平市/狛江市/立川市/多摩市/調布市/西東京市/府中市/町田市/三鷹市/武蔵野市/八王子市) 神奈川県 横浜市(泉区・戸塚区・港南区・南区・青葉区・都筑区・緑区・港北区・中区・西区・神奈川区・鶴見区・旭区・保土ヶ谷区・瀬谷区)/川崎市(中原区・高津区・宮前区・多摩区・麻生区・幸区・川崎区)/大和市/座間市/相模原市南区 埼玉県 川口市/戸田市/朝霞市/和光市/さいたま市南区
アールメイドのシニア向けプラン
アールメイドには「シニアサポートプラン」という高齢者に特化したプランがあります。
介護保険ではできない部分の掃除や家族分の食事など、要望に合わせて幅広く家事を行ってもらえます。
またスタッフは担当制になっており、いつも同じスタッフが訪問してくれるのも高齢者にとっては安心です。
介護保険と自費の家事代行サービスの違いはこちらの記事に詳しく書いていますので参考にどうぞ。
また不在時の訪問にも対応してくれています。
サービス内容
シニアサポートプランのサービス内容は通常のプランと同様に家事全般をお願いできます。
サービス例としては、
<サービス例1>
- 部屋の掃除
- 庭の手入れ
- 洗濯
- 片付け
- 話し相手
介護保険の訪問介護ではできない家族と共用部分の掃除や庭の掃除、話し相手などもしてもらえるのが嬉しいところです。
<サービス例2>
- 買い物
- 料理
- 水回りの掃除
- ごみ捨て
- 電球交換
自費でのサービスなら介護保険ではしてもらえない生活必需品以外の買い物(仏壇のお花や趣味の本など)や急に切れてしまった電球の交換などもお願いできます。
利用までの流れ
アールメイドのシニア向けプラン「シニアサポートサービス」の利用までの流れは以下のようになっています。
打ち合わせ
まずはアールメイドのコーディネーターが自宅へ訪問して打ち合わせをします。
お試し利用(トライアル)
定期利用の場合には「お試しコース」があります。
コーディネーターと担当スタッフが一緒に訪問してお試し利用ができます。
契約
サービス内容や料金、スタッフとの相性など検討して問題がなければ契約します。
サービス開始
女性スタッフが定期的に自宅を訪問してサービスを行います。
注意事項
アールメイドのシニアサポートサービスを利用する上での注意事項は以下の点になっています。
事前の打ち合わせで不明点についてしっかり確認しておくと安心です。
利用料金
シニアサポートサービスの利用料金は以下を参考にしてください。
詳細はアールメイドにへ問い合わせましょう。
料金例
毎週利用(月4回)の場合の料金例は以下のようになっています。
利用料金 合計/月 2時間×月4回 (1時間3,630円×2時間=7,260円)×4回+移動費1,100円×4回 33,440円 3時間×月4回 (1時間3,300円×3時間=9,900円)×4回+移動費1,100円×4回 44,000円 4時間×月4回 (1時間3,300円×4時間=13,200円)×4回+移動費1,100円×4回 57,200円
トライアル料金
定期サービスを検討している場合には「トライアルコース」が利用できます。
トライアルコースの利用料金は2時間5,500円です。
通常よりかなりお得な料金で試すことができますので、これを機会に検討してみても良いかもしれませんね。
アールメイドのシニアサポートサービスの口コミ
それでは実際にアールメイドのシニアサポートサービスを利用している方の口コミをご紹介します
まとめ
今回は介護保険ではできない家事もお願いできる家事代行サービス、アールメイドについてご紹介しました。
自費の家事代行サービスはちょっとした困りごとでも柔軟に対応してもらうことができます。
介護保険だけでなく自費のサービスも上手に利用して、快適な生活を続けられると良いですね。
認知症の方への対応に困ったら~3つの心がまえと対応方法
家族が認知症になったら、どのように接すればよいのでしょうか。
認知症による症状に悩んでいる方も多いと思います。
認知症を理解して対応の基本がわかれば、その人に合った対応方法が見えてくるかもしれません。
今回は認知症の方と接する時の心がまえと場面別の対処方法についてご紹介します。
認知症の方への対応「3つの心がまえ」
認知症は脳の病気や障害など様々な原因によって脳細胞が死んだり、働きが悪くなることで認知機能が低下し、日常生活に支障が出てくる状態をいいます。
認知症には様々なタイプがありますが、認知症の方への接しかたの基本は同じです。
認知症についての正しい理解と対応方法の基本を知っていれば、お互いのストレスが大きくなりすぎるのを防ぐことができます。
認知症は脳に起こる障害が原因
認知症は一昔前には「痴呆(ちほう)」と呼ばれており、原因や治療、対応方法についてあまり知られていませんでした。
そのため対応に困った家族は、認知症になった高齢者が外に出ないように自宅に閉じ込めるなんていうこともありました。
認知症は脳細胞の死滅や血流低下、たんぱく質が蓄積することによって脳細胞のネットワークが壊れることなどで起こります。
認知症の方が家族を困らせるような態度を取ったとしても、それは脳の障害によって起こっている症状であり本人の意思とは関係ありません。
また認知症の初期症状は「うつ病」と似ていることがあり、しばしば判断が難しいこともあります。
いずれにしても認知症は「心の持ちよう」や「本人の気合」で治すことはできませんし、現時点では認知症を治す薬はありません。
信頼関係を築き、安心感をもたせる
認知症の方は、“ある日突然何もわからなくなる”わけではありません。
「これまでできていたことができなくなった」「少し前の事を忘れてしまう」などの症状に気づいています。
認知症初期の方はよく「頭の中が真っ白になって何も分からなくなる時がある」と言います。
自分が自分でなくなるような不安、恐怖は当事者にしかわかりません。
もしも身近な人に失敗を責められたり、無視されると自尊心が傷つき、強いストレスに。
認知症の方はストレスがかかると易怒性(怒りっぽくなる)や不眠、妄想、一人歩き(徘徊)などの周辺症状が出現しやすくなります。
本人が安心して落ち着ける場所や雰囲気づくりを行うことで、周辺症状を和らげることにつながります。
また認知症では短期記憶障害によって少し前の事を忘れてしまいますが、その時の感情は残ると言われています。
介護しているとイライラしてつい口調が厳しくなってしまいますが、認知症の方へ「よい感情」を残してもらうようにすると信頼関係が築きやすくなります。
自尊心を傷つけない
認知症になると思考や動作が遅くなるために、話す事や何かするにも時間がかかります。
大きな声を出して驚かせたり、急がせたりすると焦ってしまい、余計にできなくなってしまいます。
できるだけ本人のペースに合わせてあげましょう。
またレビー小体型認知症などで見られる症状に幻覚がありますが、本人は嘘や作り話をしているわけではありません。
脳がそのように見せているため、否定せずに「自分には見えないけど、そうなのね」と伝えるようにしましょう。
認知症になっても、周りの手助けがあればできることはたくさんあります。
時間がかかるからといって家事や身の回りの事など本人の役割を奪ってしまわず、できることはやってもらうようにすることが認知症の進行を遅らせることにも繋がります。
認知症の方への場面別対応方法
それでは認知症の方への対応方法を場面別にご紹介します。
あくまでも対応案ですので、これを同じようにしたからといって必ず上手くいくとは限りません。
本人の性格や行動パターンに合わせて色々試してみましょう。
「まだご飯を食べていない」と言われる
短期記憶障害によって少し前のできごと(ご飯を食べたこと)自体を忘れてしまいます。
また脳機能の低下によって満腹感も感じづらくなっているかもしれません。
実際に記憶がないので「さっき食べたよ」と言っても納得せず、「ご飯を食べさせてもらえない」「家族にいじめられている」などと思ってしまいます。
そのような時には話題を変えて食事の事から気持ちを逸らせるか、「今用意しているから」と言って何かおやつなどを食べてもらいましょう。
何度も食べたがる場合には、食べ過ぎにも注意が必要になります。
あらかじめ食事量を少なめにして、数回に分けて食べられるように調整すると良いと思います。
自分で出かけて迷子になってしまう
認知症になると今まで通い慣れた道でもわからなくなってしまうことがあります。
また何か目的があったり、じっとしていられないような理由があって出かけてしまう 「一人歩き(徘徊)」も行方不明の原因に。
まずは本人がなぜ出かけるのかを聞いてみましょう。
目的や出かける時間帯などのパターンがわかれば、おのずと対応方法が見えてくるかもしれません。
またレビー小体型認知症では時間帯によって「せん妄」状態となり、意識がもうろうとして出て行ってしまう場合や幻覚が見えていて、それに対応しようとして出て行くこともあります。
本人が納得するまで一緒に歩いて帰って来られれば良いでしょうが、毎回付き合って歩くわけにはいきませんよね。
自宅の玄関や部屋に外から鍵をかけて出られなくすることは虐待にあたる可能性がありますし、自由に外出できないというストレスから「何が何でも出かける」ようになってしまうかもしれません。
本人の靴や帽子などいつも身に着けるものにGPSをセット(携帯やカバンは忘れていく事が多い)したり、玄関や部屋の出入口にセンサーマットを取り付ける方法もあります。
また地域の町内会や隣近所、民生委員、近くのコンビニ、交番などに協力を依頼し、見かけたら声をかけたり、家族への連絡をお願いしておくと良いでしょう。
他にも持ち物に名前や住所、連絡先を書いたものを縫い付けたという方もいます。
見えないものが「見える」と言ってくる
レビー小体型認知症ではしばしば幻視を訴える人がいます。
脳がリアルに幻視を見せているため、本人にとってはそれが現実なのです。
「小さな子供がいる」「家の前に行列ができている」など見えないものが「見える」と言ったら、頭ごなしに否定せずに「私には見えないけど、見えるのね」と認めてあげましょう。
そして幻視によって何か困っている様であれば、別の部屋へ移動させたり「帰ってもらうように言ったよ」などと話を合わせて対応してみましょう。
「夫(妻)が浮気している」嫉妬妄想がある
嫉妬妄想とは「配偶者が不貞を働いている」と思い込んでしまう妄想で、レビー小体型認知症では4人に1人程度にみられると言われています。
認知症になって自分でできることが減り、配偶者へ頼ることが増えてくることに対する劣等感や「配偶者に見捨てられるのではないか」という不安に加えて、判断力の低下、ドパミン神経系の異常が加わり、嫉妬妄想になると考えられています。
対応方法としては、
- 家事など家庭内での役割を作る
- ほめて、感謝の言葉を増やす
- 一時的に配偶者の単独外出を減らす(デイサービスなど本人がいない間に外出する)
- 主治医に薬の調整を依頼する
などがあります。
大変な思いをしながら介護している配偶者に疑われ、責められることは精神的にも非常に辛い状況ですので、一人で抱え込まずに家族や担当ケアマネジャー、地域包括支援センター、認知症家族の会などへ相談するようにしましょう。
「お金(通帳)が盗まれた」もの盗られ妄想がある
大事な物を自分でどこかへしまい忘れ、それを家族や他人が盗んでいったというのが“もの盗られ妄想”です。
家族と同居している場合にはその中の誰かが犯人にされたり、一人暮らしの場合は「知らない人が勝手に入ってきて盗んでいった」と言って実際に警察を呼んだり交番へ行く人も。
もの盗られ妄想も認知症の周辺症状のひとつで「どこかへ置き忘れたんでしょ」と言っても本人は納得しません。
まずは一緒に探してみて、見つからない場合には話題を変えて他に気持ちが向くようにしてみるのも良いでしょう。
また大事な物がなくならないように、財布や通帳の入っている袋にリモコンの受信機を付けておく方法もあります。
暴言や暴力、妄想がひどい場合には認知症専門医に薬で症状を抑えることができるか相談してみましょう。
病院受診や介護サービスを拒否する
病院受診や介護サービスの拒否は認知症の方には良くあることです。
まず拒否するというには何か理由があります。
「自分が認知症だと診断されるのが怖い」「受診(介護サービス)の必要性がない」「知らない場所へ行きたくない」「道中のトイレが心配」など理由はそれぞれです。
理解力や判断力の低下もあって家族がいくら説明しても了承しない事も多いでしょう。
もの忘れ外来などの専門医の受診であれば、まずは家族だけでも相談できる場合がありますので医療機関へ確認してみましょう。
定期受診を拒否する場合も主治医へ相談してみてください。
通院ができなければ訪問診療で対応できることもあります。
介護サービスへの拒否であれば、家族以外の人が勧めると受け入れてくれる場合もあります。
また知らない場所へ行きたくないという気持ちが強い場合には、小規模多機能型居宅介護の訪問サービスから初めて介護職員と顔馴染みになってから通所へ誘うという方法も。
認知症の方は新しい人を覚えることが苦手ですので、いつも同じ職員が対応することで安心してもらえます。
また本人が拒否しているのに強引に連れて行こうとするのは逆効果です。
どうしても納得してくれない場合には、焦らずに少しずつすすめることも必要です。
薬を飲まなくて困っている
まずは薬を飲まない原因を探ってみましょう。
可能性としては、
- 薬を飲む必要性を理解できない
- 嚥下(えんげ)機能が低下していて、飲み込めない
- 苦いから飲みたくない
などが考えられます。
いずれの原因であったとしても、薬を飲まないことを怒ったり、責めたりせずに様子を見ながらすすめていくことが大切です。
薬を飲む必要性を理解できない
認知機能の低下により薬の効果やなぜ飲まなくてはいけないのか分からなくなっている場合には、その都度「○○に効く薬ですよ」など薬の効用を伝え、さらに健康でいてもらいたいという気持ちを伝えてみましょう。
また認知症の進行を遅らせるための薬には貼るタイプもありますので、飲んでくれない場合には医師に変更できるか相談してみても。
嚥下(えんげ)機能が低下していて、飲み込めない
加齢により飲み込む力が弱くなって薬が飲めない可能性もあります。
普段の食事でむせたり、つまるような様子がないかを確認しましょう。
飲み込みが悪い、口内炎ができている、義歯が合わず痛みがあるようなら一度歯科を受診してみましょう。
通院が難しい場合には訪問歯科もありますので、一度相談してみることをおすすめします。
また服薬用のゼリーに混ぜたりすると飲み込みやすくなることがあります。
苦いので飲みたくない
薬が苦かったり、そもそも薬が嫌いで飲みたくないという場合には、薬の飲む回数や種類を減らしてもらえるか主治医に相談してみましょう。
薬の形状を変えたり、ゼリーや飲み物に混ぜてみると飲めるかもしれません。
また薬局の薬剤師に相談すると飲みやすい方法をアドバイスしてもらえることもあります。
ただし薬の種類によっては飲み物などに混ぜてはいけない場合もありますので、医師か薬剤師に確認しましょう。
トイレ以外の場所で排泄してしまう・失禁してしまう
排泄の問題は介護の中でもかなり負担が大きいものです。
排泄の失敗は本人の自尊心も傷つきますしストレスになります。
もし汚れた下着が隠されていたら、そっと片付けましょう。
トイレまでの経路が分からなくなっている場合には、トイレのドアに「トイレ」と張り紙をしたり、部屋からトイレまでの道順を示してみるのも良いでしょう。
夜間の失敗が多い時には廊下にダウンライトを点けておくと安心してトイレへ行くことができるかもしれません。
それでも改善しない場合は、寝室にポータブルトイレを置くことを検討してみてはいかがでしょうか。
トイレが間に合わなかったり、失禁する場合には尿パットの使用がおすすめですが、安易にオムツに変えてしまうことは避けましょう。
まとめ
今回は認知症の方へ接する時の心がまえと対応方法についてお伝えしました。
認知症による周辺症状はある程度わかっていますが、対応方法はその人によって千差万別です。
認知症の方の介護は精神的な負担も大きく、一人で介護することは困難です。
一人で抱え込まず、地域包括支援センターや認知症家族の会などの相談窓口を利用しましょう。
今回ご紹介した方法が、認知症の方への対応のヒントになれば幸いです。
関連資料
厚生労働省:政策レポート(認知症を理解する) (mhlw.go.jp)
低所得や生活保護を受けても老人ホームに入居できる?
今は元気で暮らしているけど、家で過ごすことが難しくなった時には施設へ…と考えている方。
でも「その時にお金がなかったら、入居費はどうやって払えばいい?」「そもそもお金がなかったら施設に入れないんじゃないか」と不安になっていませんか。
今回は低所得者または生活保護受給者が高齢者向け住宅や介護施設へ住み替えできるのかについてお伝えしていきます。
低所得や生活保護でも老人ホームへ入居できるのか
低所得者とは
低所得者とは「住民税非課税世帯」となっている場合を言います。
住民税が課税されない所得の範囲は、世帯によって以下のようになっています。
≪住民税が課税されない所得の範囲≫
●単身者の場合
所得が45万円以下(65歳以上の場合年金収入で155万円、65歳未満の場合年金収入で105万円)
●夫婦世帯(配偶者控除あり)の場合
所得が101万円以下(65歳以上の場合年金収入で211万円、65歳未満の場合年金収入で171万3千円)
年金以外の収入がない場合には、これらの金額より年金が少なければ住民税非課税世帯となります。
生活保護とは
生活保護制度は生活に困窮する方に対しその困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。
日本では約160万世帯が生活保護を受給しており、そのうち半数を超える約85万世帯が高齢者となっています。
生活保護を受けるためには様々な要件がありますが、申請を希望する場合は、お住まいの地域の福祉事務所の生活保護担当に相談してみましょう。
参考資料
どこの老人ホームでも入れるわけではない
一口に老人ホームと言っても、その種類はたくさんあります。
それぞれの体の状況や目的に応じた施設を選ぶことになりますが、かかる費用はピンからキリまで。
低所得者であれば支払える額に合わせた住宅を選ぶ必要があります。
また生活保護を受けている場合には、生活保護受給者を受け入れている施設を探さなくてはなりません。
低所得者や生活保護受給者が入居できる住宅・施設
それでは具体的にどのような高齢者向け住宅や施設に入居できるのでしょうか。
1つずつ見ていきましょう。
介護施設には対象となる”介護度”があります。
特別養護老人ホーム
要介護3以上で入居できます。
費用が安く、介護職員や看護師がいるため介護度が重くなっても過ごすことができます。
施設によって「多床室」という数人が同じ部屋で過ごすタイプと「ユニット型」という個室タイプがあります。
入居時の初期費用はかからず月額費用は5万~15万円程度と施設によって変わります。
ただし要介護3以上でないと受け入れていないため(認知症の場合には特例あり)、元気なうちは入ることができません。
また申し込み順ではなく、優先度が高い人から入居することになります。
さらに待機者が非常に多いために、地域によっては入居まで数ヶ月~数年かかると言われています。
介護付き有料老人ホーム
介護などのサービスがすでに付いている老人ホームです。
要介護1以上で入居できる「介護専用型」と自立している方や要支援の方でも入れる「混合型」があります。
サービス内容や金額は多種多様で、初期費用が数万~数千万円、月額費用も数万~数十万円と幅が大きいのが特徴です。
介護費用は介護度に応じた「定額制」で収入によって1~3割の自己負担となります。
低所得者であればできるだけ費用の安い所を選ぶ必要がありますが、介護付き有料老人ホームは比較的高額なので年金だけでの生活は難しいかもしれません。
生活保護受給者であれば、生活保護に対応している施設を探しましょう。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは、自立~要介護の方まで入居でき、食事サービス、清掃・洗濯などの生活支援サービス、医療機関提携・緊急時対応などの健康管理サービス、レクリエーション・イベント等のアクティビティなどが受けられる施設です。
介護が必要になった場合は、在宅サービス事業所と入居者個人が契約をして介護サービスを受けます。
介護サービス費は在宅でサービスを受ける場合と同様に、介護度により前年度の収入に応じて1割~3割負担となります。
入居費用は、入居金と月額利用料がかかります。
こちらも介護付き有料老人ホームと同様に月額費用は数万~数十万円と大きく違いがあります。
生活保護に対応している施設であれば入所可能ですが、低所得者では月額費用が10万円を超えるところが多く、こちらも年金だけで生活することは難しいかもしれません。
ケアハウス(軽費老人ホーム)
ケアハウスは60歳以上(夫婦はどちらか一方)で、自立した生活に不安があり身寄りのない高齢者が、自治体の助成により低価格で入居できる施設です。
食事を提供する「A型」、食事を提供しない「B型」、「ケアハウス(C型)」の3種類があります。
A型、B型は自分で身の回りのことができる人で月収34万円以下などの要件があります。
ケアハウスは所得制限がなく、比較的低料金で入所することが可能。
ちなみにA型とB型は今後建設予定がありませんので、これからはケアハウスが中心になってきます。
入居初期費用はA型・B型は0円、ケアハウスは0~30万円程度です。
月額費用はA型で6~17万円、B型で3~4万円、ケアハウスでは6~13万円ほどが目安です。
こちらも生活保護に対応している施設であれば入所することができます。
また低所得の方でも費用の負担が少なく、入所しやすい施設であると言えます。
ただし入所必要度が高いと判断された方のみとなりますので、申し込みをしても必ず入所できるとは限りません。
サービス付き高齢者住宅
サービス付き高齢者向け住宅は60歳以上の方が入居でき、有資格者の相談員が常駐し安否確認と生活相談サービスが受けられる住まいです。
賃貸借契約で初期費用は比較的安価な数十万円で借りられるところが多く、月額費用は5万~25万円と立地条件やサービスなどによって差があります。
一人暮らしや夫婦で、日常生活は自立している介護度の軽い方に適しています。
食事やお風呂(浴室)の提供がある施設が多いですが、介護サービスは外部の事業所を利用する必要があります。
こちらも生活保護に対応している施設であれば入居可能です。
低所得者では月額費用が年金額ギリギリもしくは予算オーバーとなるかもしれません。
認知症グループホーム
要支援2以上、原則65歳以上の認知症高齢者が対象で、施設がある自治体に住民票を持つ方が入居できる施設です。
5~9人を1ユニットとする少人数で、認知症専門スタッフから介護サービスや機能訓練等を受けながら、料理や掃除などの家事を分担し共同生活を送ります。
費用は月額料金に加え、初期費用として入居金や保証金が数十万円程度必要な場合があります。
介護費用は介護度に応じて一定額の負担となり、そのほか食事などの生活費がかかります。
グループホームは少人数制であることから、満室で長期間待機しなくてはならない場合があります。
グループホームにも生活保護に対応している施設がありますので、その場合は入所可能ですが月額費用が高めであるため、低所得者では年金だけでは難しいかもしれません。
低所得者や生活保護受給者が入居できる住宅・施設の探し方
それでは低所得や生活保護を受けていても入居できる住宅や施設はどのように探せばよいのでしょうか。
生活保護をすでに受給している場合には、まずは担当の福祉事務所職員(ケースワーカー)に相談しましょう。
費用面からどのような施設に入居できるのかについて確認する必要があります。
ケースワーカーから生活保護受給者が入居している施設の情報を得ることができるかもしれません。
他には高齢者向け住宅や施設を専門に紹介している業者がありますので、希望の場所や予算等を伝えて探してもらう方法もあります。
ただし中には低所得者や生活保護受給者ばかりを特定の施設へあっせんする悪徳業者もありますので、注意して選びましょう。
また入居を希望する地域にある「地域包括支援センター」に相談すると担当地区の住宅や施設の情報をもらえるかもしれません。
生活保護を受けている場合の自己負担額は
高齢者向け住宅や介護施設へ入居すると、毎月の家賃に加えて食費や光熱費、介護費用が発生します。
このうち家賃については「住宅扶助」、介護費用については「介護扶助」が適用されますので、扶助の範囲内であれば自己負担はありません。
その他の生活費に関しては「生活扶助」の限度額内で収まる施設を探すことになります。
低所得者が高齢者向け住宅や介護施設に入るコツ
これまでそれぞれの住宅や介護施設についての概要や費用をお伝えしましたが、低所得者で入居できるところが少ないのが現状です。
とはいっても、身体機能の低下や認知症などで在宅生活が続けられなくなる時が来るかもしれません。
現時点で預貯金が全くなく年金だけで暮らしている方は、まず生活保護の申請を検討しましょう。
持ち家で住宅ローンの支払いが完了しているのであれば自宅を売り、そのお金で入居費や生活費に当てましょう。
もしいくらかの預貯金がある場合は、生活保護に対応している施設に入居して年金と預貯金を切り崩しながら生活します。
そして預貯金が底を尽きたら生活保護を申請して、住宅扶助に切り替えてもらいましょう。
ここで注意するのは、生活保護に対応していない施設に入所してしまうと、扶助の範囲を超えるために他の施設へ転居する必要が出てきます。
まとめ
今回は低所得や生活保護を受けていても入居できる高齢者向け住宅や施設についてお伝えしました。
低所得者の方はあらかじめ生活保護に対応した施設を選ぶことで、もし蓄えがなくなっても生活保護を受けることで住み続けることができます。
すでに生活保護を受給している方は、ケアワーカーに相談しながら介護度や今後の生活を考えた住宅、施設を選ぶようにしましょう。
どちらの場合でも正しい情報を得て住宅探しをすれば、安心して老後を過ごすことができます。
低所得だから…と諦めずに良い住み替え先を探してみましょう。
高齢者の帯状疱疹はワクチンで予防しよう!
帯状疱疹にかかる高齢者の数は60歳以上では100人に1人と言われています。
免疫力の低下する年代では帯状疱疹にかかりやすく、神経痛などの後遺症が続く人も。
実は帯状疱疹を予防するためのワクチンがあることをご存知でしょうか。
今回は帯状疱疹とワクチンの効果についてお伝えします。
帯状疱疹(たいじょうほうしん)とは
子どもの頃に水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスに感染すると水ぼうそうになります。
そして水ぼうそうが治った後、ウイルスは脊髄から出る神経節という部分に潜んで静かになります。
ところが、過度の疲労やストレス、加齢などが原因で免疫力が低下すると、水痘・帯状疱疹のウイルスが活動を再開。
ウイルスは神経の流れに沿って神経節から皮膚へ移動し、痛みの伴う発疹(ほっしん)が出ます。
これが帯状疱疹です。
帯状疱疹の原因
体の免疫力は疲労やストレス、加齢などによって低下します。
健康な時には水痘・帯状疱疹ウイルスの活動は抑えられていますが、免疫力が低下した時に活動を再開し、増殖することで帯状疱疹を発症すると考えられています。
日本人の9割がこのウイルスを持っていると言われており、子供の頃にかかった記憶がない方でも知らないうちに水痘・帯状疱疹ウイルスを持っている人もいます。
帯状疱疹の好発年齢
帯状疱疹の患者数は年々増加傾向で男性より女性に多く、50代から急増して罹患(りかん)率は70代でピークとなります。
患者数の増加は高齢化が原因かはわかっていませんが、高齢になるにつれて帯状疱疹にかかる確率は上がると言えます。
帯状疱疹の治療
できるだけ早く治療を開始することが重要
帯状疱疹の治療には、できるだけ早くウイルスの増殖を抑えることが重要です。
抗ウイルス薬による治療効果を得るためには、皮疹出現後3日(72時間)以内の早期投与が望ましいと言われています。
原因不明の痛みが体の片側に起こり、そこに発疹(ほっしん)が見られたら帯状疱疹が疑われますので、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。
薬物治療
実際の治療ではウイルスの増殖を抑える「抗ウイルス薬」と痛みを抑える「鎮痛薬」が処方されます。
基本的には飲み薬ですが、症状が重い場合や嚥下障害などで薬を飲むことができない場合には注射や点滴で治療することも。
発疹の状態によってはぬり薬が処方されることもあります。
ぬり薬には皮膚の症状や痛みを改善するほかに、水疱(すいほう)が破れウイルスが外に出て他の人に移らないように皮膚を保護する効果もあります。
痛みが治まらない時には、薬の種類や量を調整してくれますので、我慢せずに医師に相談しましょう。
また抗ウイルス薬は効果が出るまでに2~3日かかることがありますので、処方された薬はきちんと最後まで飲むことが重要です。
症状が治まったからといって途中でやめてしまわないようにしましょう。
他の人へうつさないために
水疱の中には水痘・帯状疱疹ウイルスが入っていますので、患部(発疹の出ているところ)は直接手で触らないように。
もしも触った時は必ず石鹸でしっかりと手を洗いましょう。
患部には処方された塗り薬をぬって、清潔なガーゼで覆うなどの処置をすると下着などで擦れて痛みが強くなったり、水疱が破れるのを防ぐことができます。
また病院を受診する時には必ず帯状疱疹にかかっていることを伝えましょう。
同時に帯状疱疹が治るまでは、免疫力のない新生児や高齢者にはできるだけ接触しないようにしてください。
帯状疱疹の後遺症
帯状疱疹は神経の流れに沿って障害を及ぼすことから、様々な後遺症に悩まされる方もいます。
例えば目や耳などの感覚器の神経が傷つくことで、視力低下や難聴などを引き起こします。
また運動神経を傷つけることで、麻痺や排尿障害などの合併症の可能性も。
そして最も多い後遺症は、発疹が良くなった後にもピリピリとした痛みが長期間続く「帯状疱疹後神経痛(PHN)」です。
特に50歳以上の患者のうち、約2割の人が帯状疱疹後神経痛に移行すると言われています。
これはウイルスが神経を傷つけることで起こり、帯状疱疹の痛みとは原因が異なるため治療法も変わります。
皮膚症状が良くなっても痛みが続く場合には、医師に相談しましょう。
帯状疱疹を予防するワクチン
ワクチンの効果
現在では水痘(すいとう)ワクチンを帯状疱疹のワクチンとして接種することで、発症率を低下させ、重症化を予防できると考えられています。
ワクチンは病原性を弱くした「弱毒性ワクチン(生ワクチン)」と病原性をなくした「不活化ワクチン」が使用されます。
帯状疱疹の発症予防効果を調査したところ、接種後3年間で発症が51.3%減少し帯状疱疹後神経痛が66.5%減少したという報告があります。
ワクチン接種によって帯状疱疹を完全に予防することはできませんが、重症化や後遺症を防ぐ効果が期待できます。
ワクチンの対象年齢
帯状疱疹ワクチンの対象は50歳以上です。
水ぼうそうにかかったことがある人はすでに水痘・帯状疱疹ウイルスに対する免疫を獲得していますが、年齢とともに弱くなってしまうため改めてワクチン接種を行い、免疫を強化することで帯状疱疹を予防します。
ワクチンの種類と注意点
現在使用されている帯状疱疹のワクチンは「乾燥弱毒性水痘ワクチン(ビケン)」または「乾燥組換え帯状疱疹ワクチン(シングリックス)」が使用されています。
乾燥弱毒性水痘ワクチンは「生ワクチン」と言われ、免疫機能に異常のある疾患がある人や免疫抑制の治療を受けている人は接種できません。
以下にそれぞれのワクチンの特徴とメリット・デメリットをまとめました。
ワクチンの費用はいくらかかるのか
帯状疱疹のワクチンは全額自費で接種すると1回あたり2万円~3万円程度かかります。
ただし自治体によって予防接種費用の助成が受けられる場合があります(ただし対象年齢や助成額、回数などの要件はそれぞれ異なる)ので、お住まいの地域の行政や医療機関で確認しましょう。
助成が受けられる地域では乾燥弱毒性水痘ワクチン(ビケン)で4,000円~5,000円ほど、乾燥組換え帯状疱疹ワクチン(シングリックス)で1回10,000円程度の自己負担となるところが多いようです。
帯状疱疹を予防するための生活習慣
帯状疱疹の原因は免疫が低下することでウイルスが再び活動を始めることで起こります。
特に高齢者では免疫力の低下によって様々な病気にかかりやすくなりますので、普段の生活習慣で予防することが大切です。
食事や睡眠をしっかりと
生活の基本は規則正しい生活を送ることです。
食事の時間が不規則だったり、コンビニや惣菜ばかり食べていると栄養バランスが悪くなりがちです。
決まった時間に食事を取るようにし、できる範囲で栄養バランスも考えて食べるように心がけましょう。
高齢者では夜間トイレに起きて寝不足になりがちという方も多いですが、そもそも睡眠時間は若い人より少なくなっています。
こだわり過ぎずに、いつも通りの睡眠を取りましょう。
適度な運動とリラックスの時間を
適度な運動はストレスを解消して、免疫力を上げることがわかっています。
ウォーキングや体操など体を動かす時間を持つようにしましょう。
高齢なために1人での運動が難しい場合には介護保険を利用したデイサービスやリハビリなどもあります。
また適度な運動は質の良い睡眠にもつながります。
他にもお風呂や好きな音楽を聴く、疲れたら休むなどリラックスできる時間も大切です。
活動と休養のバランスを取って、免疫力の低下を予防しましょう。
まとめ
今回は帯状疱疹と予防方法についてお伝えしました。
加齢に伴って免疫力が低下することで、帯状疱疹にかかる人が多くなります。
また高齢者では重症化や帯状疱疹後神経痛のリスクも。
これを機会に、予防接種や生活習慣で帯状疱疹を予防してはいかがでしょうか。