さえとも保健師のブログ

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 低所得や生活保護を受けても老人ホームに入居できる?

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今は元気で暮らしているけど、家で過ごすことが難しくなった時には施設へ…と考えている方。

でも「その時にお金がなかったら、入居費はどうやって払えばいい?」「そもそもお金がなかったら施設に入れないんじゃないか」と不安になっていませんか。 

今回は低所得者または生活保護受給者が高齢者向け住宅や介護施設へ住み替えできるのかについてお伝えしていきます。 

低所得や生活保護でも老人ホームへ入居できるのか 

低所得者とは 

低所得者とは「住民税非課税世帯」となっている場合を言います。 
住民税が課税されない所得の範囲は、世帯によって以下のようになっています。

≪住民税が課税されない所得の範囲≫ 

●単身者の場合 
所得が45万円以下(65歳以上の場合年金収入で155万円、65歳未満の場合年金収入で105万円) 

●夫婦世帯(配偶者控除あり)の場合 
所得が101万円以下(65歳以上の場合年金収入で211万円、65歳未満の場合年金収入で171万3千円) 

【市民税】(FAQ)|名古屋おしえてダイヤル (city.nagoya.jp) 

年金以外の収入がない場合には、これらの金額より年金が少なければ住民税非課税世帯となります。

生活保護とは 

生活保護制度は生活に困窮する方に対しその困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。 

日本では約160万世帯が生活保護を受給しており、そのうち半数を超える約85万世帯が高齢者となっています。 

生活保護を受けるためには様々な要件がありますが、申請を希望する場合は、お住まいの地域の福祉事務所の生活保護担当に相談してみましょう。 

参考資料

生活保護制度 |厚生労働省 (mhlw.go.jp) 

どこの老人ホームでも入れるわけではない 

一口に老人ホームと言っても、その種類はたくさんあります。 

それぞれの体の状況や目的に応じた施設を選ぶことになりますが、かかる費用はピンからキリまで。 

低所得者であれば支払える額に合わせた住宅を選ぶ必要があります。 

また生活保護を受けている場合には、生活保護受給者を受け入れている施設を探さなくてはなりません。 

低所得者生活保護受給者が入居できる住宅・施設 

それでは具体的にどのような高齢者向け住宅や施設に入居できるのでしょうか。 
1つずつ見ていきましょう。

介護施設には対象となる”介護度”があります。

特別養護老人ホーム 

要介護3以上で入居できます。 

費用が安く、介護職員や看護師がいるため介護度が重くなっても過ごすことができます。 

施設によって「多床室」という数人が同じ部屋で過ごすタイプと「ユニット型」という個室タイプがあります。 

入居時の初期費用はかからず月額費用は5万~15万円程度と施設によって変わります。 

ただし要介護3以上でないと受け入れていないため(認知症の場合には特例あり)、元気なうちは入ることができません。 

また申し込み順ではなく、優先度が高い人から入居することになります。 

さらに待機者が非常に多いために、地域によっては入居まで数ヶ月~数年かかると言われています。 

介護付き有料老人ホーム 

介護などのサービスがすでに付いている老人ホームです。 

要介護1以上で入居できる「介護専用型」と自立している方や要支援の方でも入れる「混合型」があります。 

サービス内容や金額は多種多様で、初期費用が数万~数千万円、月額費用も数万~数十万円と幅が大きいのが特徴です。 

介護費用は介護度に応じた「定額制」で収入によって1~3割の自己負担となります。 

低所得者であればできるだけ費用の安い所を選ぶ必要がありますが、介護付き有料老人ホームは比較的高額なので年金だけでの生活は難しいかもしれません。 

生活保護受給者であれば、生活保護に対応している施設を探しましょう。 

住宅型有料老人ホーム 

住宅型有料老人ホームは、自立~要介護の方まで入居でき、食事サービス、清掃・洗濯などの生活支援サービス、医療機関提携・緊急時対応などの健康管理サービス、レクリエーション・イベント等のアクティビティなどが受けられる施設です。 

介護が必要になった場合は、在宅サービス事業所と入居者個人が契約をして介護サービスを受けます。 

介護サービス費は在宅でサービスを受ける場合と同様に、介護度により前年度の収入に応じて1割~3割負担となります。 

入居費用は、入居金と月額利用料がかかります。 

こちらも介護付き有料老人ホームと同様に月額費用は数万~数十万円と大きく違いがあります。 

生活保護に対応している施設であれば入所可能ですが、低所得者では月額費用が10万円を超えるところが多く、こちらも年金だけで生活することは難しいかもしれません。 

ケアハウス(軽費老人ホーム) 

ケアハウスは60歳以上(夫婦はどちらか一方)で、自立した生活に不安があり身寄りのない高齢者が、自治体の助成により低価格で入居できる施設です。 

食事を提供する「A型」、食事を提供しない「B型」、「ケアハウス(C型)」の3種類があります。 

A型、B型は自分で身の回りのことができる人で月収34万円以下などの要件があります。 

ケアハウスは所得制限がなく、比較的低料金で入所することが可能。 

ちなみにA型とB型は今後建設予定がありませんので、これからはケアハウスが中心になってきます。 

入居初期費用はA型・B型は0円、ケアハウスは0~30万円程度です。 
月額費用はA型で6~17万円、B型で3~4万円、ケアハウスでは6~13万円ほどが目安です。 

こちらも生活保護に対応している施設であれば入所することができます。 
また低所得の方でも費用の負担が少なく、入所しやすい施設であると言えます。 

ただし入所必要度が高いと判断された方のみとなりますので、申し込みをしても必ず入所できるとは限りません。 

サービス付き高齢者住宅 

サービス付き高齢者向け住宅は60歳以上の方が入居でき、有資格者の相談員が常駐し安否確認と生活相談サービスが受けられる住まいです。 

賃貸借契約で初期費用は比較的安価な数十万円で借りられるところが多く、月額費用は5万~25万円と立地条件やサービスなどによって差があります。 

一人暮らしや夫婦で、日常生活は自立している介護度の軽い方に適しています。 

食事やお風呂(浴室)の提供がある施設が多いですが、介護サービスは外部の事業所を利用する必要があります。 

こちらも生活保護に対応している施設であれば入居可能です。 
低所得者では月額費用が年金額ギリギリもしくは予算オーバーとなるかもしれません。 

認知症グループホーム 

要支援2以上、原則65歳以上の認知症高齢者が対象で、施設がある自治体に住民票を持つ方が入居できる施設です。 

5~9人を1ユニットとする少人数で、認知症専門スタッフから介護サービスや機能訓練等を受けながら、料理や掃除などの家事を分担し共同生活を送ります。 

費用は月額料金に加え、初期費用として入居金や保証金が数十万円程度必要な場合があります。 

介護費用は介護度に応じて一定額の負担となり、そのほか食事などの生活費がかかります。 

グループホームは少人数制であることから、満室で長期間待機しなくてはならない場合があります。 

グループホームにも生活保護に対応している施設がありますので、その場合は入所可能ですが月額費用が高めであるため、低所得者では年金だけでは難しいかもしれません。 

低所得者生活保護受給者が入居できる住宅・施設の探し方 

それでは低所得や生活保護を受けていても入居できる住宅や施設はどのように探せばよいのでしょうか。 

生活保護をすでに受給している場合には、まずは担当の福祉事務所職員(ケースワーカー)に相談しましょう。 
費用面からどのような施設に入居できるのかについて確認する必要があります。 
ケースワーカーから生活保護受給者が入居している施設の情報を得ることができるかもしれません。 

他には高齢者向け住宅や施設を専門に紹介している業者がありますので、希望の場所や予算等を伝えて探してもらう方法もあります。 
ただし中には低所得者生活保護受給者ばかりを特定の施設へあっせんする悪徳業者もありますので、注意して選びましょう。 

また入居を希望する地域にある「地域包括支援センター」に相談すると担当地区の住宅や施設の情報をもらえるかもしれません。 

生活保護を受けている場合の自己負担額は 

高齢者向け住宅や介護施設へ入居すると、毎月の家賃に加えて食費や光熱費、介護費用が発生します。 

このうち家賃については「住宅扶助」、介護費用については「介護扶助」が適用されますので、扶助の範囲内であれば自己負担はありません。 

その他の生活費に関しては「生活扶助」の限度額内で収まる施設を探すことになります。 

低所得者が高齢者向け住宅や介護施設に入るコツ

これまでそれぞれの住宅や介護施設についての概要や費用をお伝えしましたが、低所得者で入居できるところが少ないのが現状です。 

とはいっても、身体機能の低下や認知症などで在宅生活が続けられなくなる時が来るかもしれません。 

現時点で預貯金が全くなく年金だけで暮らしている方は、まず生活保護の申請を検討しましょう。 

持ち家で住宅ローンの支払いが完了しているのであれば自宅を売り、そのお金で入居費や生活費に当てましょう。 

もしいくらかの預貯金がある場合は、生活保護に対応している施設に入居して年金と預貯金を切り崩しながら生活します。 

そして預貯金が底を尽きたら生活保護を申請して、住宅扶助に切り替えてもらいましょう。 

ここで注意するのは、生活保護に対応していない施設に入所してしまうと、扶助の範囲を超えるために他の施設へ転居する必要が出てきます。 

まとめ 

今回は低所得や生活保護を受けていても入居できる高齢者向け住宅や施設についてお伝えしました。 

低所得者の方はあらかじめ生活保護に対応した施設を選ぶことで、もし蓄えがなくなっても生活保護を受けることで住み続けることができます。 

すでに生活保護を受給している方は、ケアワーカーに相談しながら介護度や今後の生活を考えた住宅、施設を選ぶようにしましょう。 

どちらの場合でも正しい情報を得て住宅探しをすれば、安心して老後を過ごすことができます。

低所得だから…と諦めずに良い住み替え先を探してみましょう。