さえとも保健師のブログ

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育児と介護のダブルケアが限界になったら~解決方法と対策

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育児と介護が同時に起こることをダブルケアと言います。
晩婚化や出産年齢の高齢化もあり、近年はダブルケアに悩む方が増えています。
ダブルケアとは?その現状と対策についてお伝えします。

ダブルケアの現状

ダブルケアの人口と年代

平成28年内閣府男女共同参画局の調査によると、日本でダブルケアを行っている人は約25万人。そのうち約17万人が女性です。

またダブルケアをしている人の年齢は男女ともに30~40歳代で全体の8割を占めています。

H28年内閣府男女共同参画局「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」より

ちなみにダブルケアの中には親の介護以外にも障害等のある子や配偶者を介護している人も含まれています。

ダブルケアの負担感

子育てをしているだけでも大変であることは想像ができますが、さらに介護が重なることでその負担感はさらに増しています。

ダブルケアをしている男性では半数以上が配偶者から「ほぼ毎日」手助けを得ているのに対し、女性では4人に1人にとどまっているのが現状です。

育児と介護の負担感では、育児を負担に感じている人は男女ともに約半数、介護を負担に感じている人は3人に2人と育児と比べてやや高くなっています。

ダブルケアだけではありませんが、育児・介護ともに女性の方が負担が大きく、育児より介護に負担を感じている人が多いと言えます。

ダブルケアと仕事の両立

ダブルケアとなったことで「業務量や労働時間を減らした」人は男性で約2割、女性では約4割。
そのうち離職して無職になった人は男性で2.6%、女性で17.5%となっており、ダブルケアを行うことになった場合の就業への影響は女性の方が大きくなっていることがわかります。

ダブルケアに関わらず、介護のために仕事を辞める介護離職も社会問題となっています。

将来のダブルケア人口は?

少子高齢化は今後もすすんでいくと予測されています。

それに加えて、晩婚化と出産年齢の高齢化によって育児と介護が重なるダブルケアは今後も増えていくでしょう。

2025年には団塊世代が75歳以上となります。

近隣や親せき関係の希薄化や兄弟姉妹が少ないことで、ダブルケアの負担が一人に集中しやすい環境が続く可能性があります。

関連資料

 内閣府男女共同参画局|「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」

 厚生労働省|子供・子育て支援

 厚生労働省|介護・高齢者福祉

ダブルケアの課題

一人で抱え込みやすい

介護全般に言えることですが、家族など身近に協力者がいないことでストレスや負担を一人で抱え込みやすくなります。

特にダブルケアは育児と介護の両方を行う必要がありますので、何かしらの支援を受けなければ精神的な負担も増し、うつ病などを発症してしまうかもしれません。

仕事との両立が困難

ダブルケアをしながら就業している人の割合は男性で約9割、女性は約2割となっています。

職場の理解が得られず、就業時間を減らすことができなかったという人もいます。

仕事とダブルケアの両立が困難で、結果的に離職せざるを得ないということが起きてしまうと、再就職が難しかったり、経済的な問題も出てくるでしょう。

育児と介護にかかるお金

ダブルケアでは当然ながら育児と介護の両方にお金がかかります。

親の介護であれば基本的には親の年金で賄いますが、預貯金や年金額が少なければ子が負担することも出てきます。
また在宅ではなく施設入所している場合には、月々の負担が出てくるかもしれません。

子の教育費についてもダブルケアをしている人は40歳前後が多く、高校や大学進学などの費用も準備しておく必要があります。

ダブルケアでは経済的な負担も大きくなると言えます。

ダブルケアの対策

介護に関する情報収集を

育児に必要な情報は、成長段階によってある程度予測できますので、それに合わせて情報収集ができます。
しかし介護はある日突然始まることが多く、どこに相談すればよいのか、どんな制度を利用すればよいのか全くわからないといったことが起きます。

できれば介護に関する相談窓口や利用可能な制度などを知っておくことが大切です。
そうすることで、いざ介護が始まった時にも慌てずに対応することができます。

職場に相談する

先ほどもお伝えしたように、育児と介護にはお金がかかります。

仕事を続けることは経済を支えるための大切な収入源となりますので、ダブルケアになったらまずは職場の上司や人事へ相談しましょう。

介護休暇や残業の免除など様々な制度がありますので、どんな制度が利用できるのか確認することをおすすめします。

また職場でも自分がダブルケアをしていることを知ってもらうことで、情報や協力が得られることもあります。

家族・親族で話し合う

親を介護することは強制ではありませんが、法律では義務付けられており、民法第877条により、原則として扶養義務を負う親族の範囲は、「直系血族」と「兄弟姉妹」であると定められています。

これは同居、別居に関係なく、子や孫、親のきょうだいが当てはまります。

扶養義務は原則として「経済的な支援」を行えば良いことになっています。

介護が必要になったらまずは家族や親族で話し合い、誰がどのような支援をするのかを決めることが大切です。

相談と協力先を見つける

育児や介護は一人で抱え込むことが一番問題です。

まずは行政の相談窓口や子育て支援センター地域包括支援センターなどへ相談しましょう。
様々な支援のための制度がありますので、積極的に利用してみることをおすすめします。

その中で自分に合ったサービスを利用して、ダブルケアの負担を軽減していきましょう。

またできれば近隣住民や地域ともつながることで、協力が得られることも多くあります。

一人で悩まずに、周りに相談して助けを求めることが大切です。

まとめ

ダブルケアという言葉はまだまだ知らない方が多く、両親を介護する「ダブル介護」と混同されがちですが、これからダブルケアをする人は増えていくことが予想されます。

まだまだ先のことと思わずに、今から介護についても準備しておくことが大切です。

育児と介護の両立は簡単ではありませんが、周りの協力を得ながら少しでも負担を軽減していく必要があります。

ダブルケアについては近年少しずつ認知されてきていますので、今後さらに支援制度などが拡充されることが期待されます。