さえとも保健師のブログ

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老人性うつ病の特徴と治療・接し方 

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最近「よく眠れない」「気分が落ち込む」「なんでも億劫になっている」などの症状が続いていたら、それは「うつ病」かもしれません。 

うつ病は若い人だけがかかる病気ではなく、高齢者にも起こります。 

高齢者のうつ病は「老年期うつ病」とも言われ、65歳以上の方がかかるうつ病のことを言います。 

今回は高齢者のうつ病について特徴や治療、対応方法についてお伝えします。 

うつ病とは 

うつ病気分障害のひとつです。 

1日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった精神症状とともに、眠れない、食欲がない、疲れやすいといった身体症状が現れます。 

このような症状によって日常生活に大きな支障が生じている場合はうつ病の可能性があります。 

うつ病の症状 

うつ病には以下のような症状があり、これらの症状が2週間以上毎日続く状態です。 

  • 食欲がない 
  • 眠れない、朝の目覚めが悪い、または寝すぎてしまう 
  • 外出や人と会うことが億劫になる 
  • 体がだるく、疲労感がある 
  • 自信がなくなったり、自分を責めたりする 
  • 動悸や肩こり、頭痛、めまい 

食欲がない 

食事の量が減っている、最近体重が減ったなど、胃腸の具合が悪いわけでもないのに食欲が低下している。 

眠れない、朝の目覚めが悪い、寝すぎてしまう 

寝つきが悪かったり、夜中に何度も目が覚める、朝起きられないなどの症状が続いている。 
または過度に寝てしまう。 

外出や人と会うことが億劫になる 

出かけたり、人と会うことが億劫になって、家に閉じこもりがちになっている。 

または外出することが非常に苦痛になっている。 

体がだるく、疲労感がある 

他に病気がないのに、いつも体がだるく疲れが取れない状態が続いている。 

自信がなくなったり、自分を責めたりする 

自分に自信がなくなり、何に対しても「自分が悪いのだ」「自分のせいだ」と思ってしまう。 

動悸や肩こり、頭痛、めまい 

うつ病にかかると、動悸や肩こり、頭痛、めまいなどの身体症状が出ることがあります。

他にも吐き気や胃の不快感、便秘や下痢など身体症状は人によって違い、これ以外の症状が出る場合もあります。 

しかし高齢者では老化に伴う身体機能低下もありますので、これらの症状がはっきりとわからない場合も多くみられます。 

うつ病のサイン 

軽度認知障害の予防方法

うつ病には特定の症状以外にも、周囲の人からみてわかる変化もあります。 

以下のような様子が見られるようになったら、注意が必要です。 

・表情が暗い 
・涙もろくなった 
・会話や行動のスピードが遅くなる 
・落ち着かない 
・「生きていても仕方がない」「死にたい」などのネガティブな発言が聞かれる 

うつ病の診断 

うつ病の診断には簡易抑うつ症状尺度(Quick Inventory of Depressive Symptomatology:QIDS -J)と言われる16項目の自己記入式の評価尺度がありますが、今回は簡単に5つのチェック項目を見てみましょう。 

5つのチェック項目 

  1. 毎日の生活に充実感がない 
  1. これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなった 
  1. 以前は楽にできていたことが今ではおっくうに感じられる 
  1. 自分は役に立つ人間だと思えない 
  1. わけもなく疲れたような感じがする 

これらのチェック項目のうち2つ以上が2週間以上続いている場合は「うつ」の可能性があるかもしれません。 

ただし、注意したいことは認知症の初期症状として、うつ症状が見られることがよくあります。 

また反対にうつ病によって記憶力や集中力が低下し、認知症のように見えることもあります。 

うつ病は検査ではっきりと診断することができませんので、高齢者の場合には認知症脳梗塞、硬膜下血腫、水頭症甲状腺疾患など他の病気による症状ではないかを調べる必要があります。 

一般的な心療内科やもの忘れ外来などでは正確な診断が難しい場合もありますので、“老年精神医学会認定専門医”や“認知症学会認定専門医”などがいる医療機関を受診することをおすすめします。 

専門医のいる医療機関

こころと認知症を診断できる病院&施設 

【日本認知症学会】 Japan Society for Dementia Research (umin.ac.jp) 

うつ病の原因 

うつ病のはっきりとした原因はまだよくわかっていませんが、強いストレスやからだの病気、環境の変化などに加えて、脳神経の伝達物質の働きが悪くなるからではないかと言われています。 

高齢者のうつ病に関して言うと、以下のようなことがきっかけとなることが考えられます。 

  • 配偶者や子、親しい友人との死別 
  • 家庭内など人間関係のトラブル 
  • 社会的孤立・孤独 
  • 施設への住み替えなど環境の変化 
  • 財産の喪失など経済的な問題 

身近な高齢者がこのような状況になっており、さらにいつもと違う様子が見られた場合には注意して見ていく必要があります。 

うつ病の治療 

異汗性湿疹に効果のあった方法

次にうつ病の治療方法についてお伝えします。 

十分な休養と食事 

うつ病の治療にはまず、十分な休養と食事、睡眠が必要になります。 
心身の休養がしっかり取れるように環境を整えましょう。 

しかし高齢者の場合には休んでばかりいると廃用やフレイルがすすむリスクが高くなります。 
状況によって、医療保険介護保険を使った訪問看護訪問介護、リハビリなどのサービスを導入して、少しでも身体機能が低下することを予防しましょう。 

薬物療法 

うつ病に使われる治療薬は抗うつ薬です。 

以前は効果が表れるまでに時間がかかり、副作用(眠気、便秘、のどの渇きなど)も生じるために高齢者は飲み続けるのが難しいことがありました。 

最近では比較的副作用の少ない薬が使われており、合わない場合には別の薬に変更するなど主治医とよく相談することが大切です。 

また良くなったからと言ってすぐに薬をやめてしまわないようにしましょう。 
回復してからも一定期間は飲み続けて、少しずつ減らしていく場合が多いです。 

高齢者のうつ病への対応方法 

それでは実際に自宅で生活する高齢者がうつ病になった時の対応方法についてみていきましょう。 

まずはかかりつけ医に相談

高齢者は持病があって定期的に医療機関に通っている場合が多くあると思います。 

いきなり精神科や心療内科などへの受診は本人が拒否することも考えられますので、まずは主治医に相談してみましょう。 

ふらつきやお腹の調子が悪いなどの身体症状に対して治療をしても改善しない場合は、主治医からうつ病認知症を診てくれる専門医を紹介してもらい、受診することをおすすめします。 

どうしても本人が受診を拒否する場合には、家族だけで相談に行くことができる病院もありますので、事前に医療機関へ確認してみてください。 

ゆっくり休める環境をつくる 

ストレスが高い環境では休養することができませんので、本人がゆっくりと休める環境を整えてあげましょう。 

自宅で過ごすことが難しい場合には、短期入所(ショートステイ)などを利用しても。 

いずれも主治医と相談して、本人の意向を確認しながらすすめましょう。 

励まさない 

うつ病は「こころの風邪」とも言われており、精神的に疲れ切った状態です。 

「がんばれ」「すぐに良くなる」などの励ましは本人の負担となり、病状が悪化することもあります。 

治るまでの期間は人それぞれですので、焦らずに見守るようにしましょう。 

必要時には入院治療を 

自殺するおそれが強いときや自宅での治療ではなかなか改善しない時、家族が看病や介護で疲れ切ってしまっている時には、主治医と相談して入院治療も検討してもらいましょう。 

関連資料

うつ病|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省 (mhlw.go.jp) 

まとめ

今回は高齢期に発症するうつ病についてお伝えしました。

高齢者のうつ病は活動性の低下につながるため、寝たきりの原因にもなります。
早めの診断、治療が必要と言えますが、実際には認知症との区別がつきづらく、薬物治療でも効果が思うように出ない場合も。

まずは専門医へ受診して、医師と相談しながら必要時には要介護認定を受けるなど介護サービスも上手く利用していきましょう。