よく眠れない方へ〜良質の睡眠をとる方法
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「若い時は朝まで一度も起きずにぐっすり眠れたのに、今は夜中に何度も目が覚めてしまう・・・」ということありませんか?
今回は最近よく眠れなくなったという方へ、その原因と快眠対策についてお伝えします。
加齢とともに睡眠時間は変わる
「若い頃は何時間でも眠れたのに、最近は夜中によく目が覚めるし、朝早く起きてしまう」なんてことはありませんか?
実は加齢とともに睡眠時間は減っていくのです。精神科医で睡眠専門医の三島和夫先生によると
実質的な睡眠時間は加齢とともに減少し、70歳代の平均睡眠時間は約6時間まで短縮する。
保健医療科学 2015 vol.64 高齢者の睡眠と睡眠障害より
と言われています。また日本では働き盛りの睡眠時間は欧米諸国と比べても1時間程度少ないそうです。
必要な睡眠時間は個人差があります。「10時間以上寝ないと、日中はずっと眠い」という人もいれば、「3時間で十分」なんていう人もいますよね。
いずれにしても若い時よりは睡眠時間は短くなるのが普通であることを覚えておきましょう。
不眠と不眠症は違う
夜間眠れないことを「不眠」と言いますが、不眠と不眠症は違います。不眠症とは入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害などの睡眠問題が1ヶ月以上続き、日中に倦怠感・意欲低下・集中力低下・食欲低下などの不調が出現する病気です。
不眠の原因はさまざまなものがあります。
・ストレス ・からだの病気 ・こころの病気 ・薬や刺激物 ・生活リズムの乱れ ・環境
不眠の原因その1:ストレス
ストレスと緊張はすこやかな眠りを妨げます。「明日大事な会議がある」「親の介護のことで悩んでいる」などストレスや緊張状態で眠れないという経験は誰しもあるのではないでしょうか。
不眠の原因その2:からだの病気
高血圧症や心臓病、喘息などの呼吸器疾患、前立腺肥大による頻尿、関節の痛みなどの整形疾患、皮膚のかゆみなどのアレルギー疾患、脳出血や脳梗塞などさまざまなからだの病気で不眠が生じます。
また睡眠時無呼吸症候群やムズムズ脚症候群(レストレスレッグス症候群)など、睡眠に伴って呼吸異常や四肢の異常運動が出現するために睡眠が妨げられる場合も珍しくありません。不眠の原因がこれらの病気によるのであれば、治療することで不眠は解消されます。
不眠の原因その3:こころの病気
様々なこころの病気は不眠を伴うことが少なくありません。特にうつ病は増加傾向にあり、「眠れない」という症状が特徴的です。また朝はやる気が出ないが昼過ぎくらいから元気が出てくるといった場合もうつ病が疑われますので、精神科や心療内科を受診しましょう。
不眠の原因その4:薬や刺激物
治療のために飲んでいる薬の副作用で不眠になることがあります。睡眠を妨げる薬としては降圧剤・甲状腺製剤・抗がん剤などが挙げられます。また花粉症などアレルギー薬で知られる抗ヒスタミン薬では日中の眠気が出ます。
刺激物でいうと、コーヒー・紅茶などに含まれるカフェイン、たばこに含まれるニコチンなどには覚醒作用があります。カフェインやアルコールには利尿作用がありますので、寝る前に飲むと夜中にトイレに起きるなんてこともあります。
不眠の原因その5:生活リズムの乱れ
交替制勤務や時差などによって体内リズムが乱れると不眠を招きます。
不眠の原因その5:環境
睡眠には環境も大きく関わってきます。寝る前の明るすぎる光や騒音、湿度や温度が高い状態は寝つきを悪くし、不眠の原因となります。
不眠改善のための対策方法
病気が原因ではない場合の不眠には、さまざまな環境を整えることで改善が期待できます。では不眠改善のための対策方法についてみていきましょう。
・決まった時間に寝る・起きる ・睡眠時間にこだわらない ・朝日を浴びる(またはできるだけ日光にあたる) ・日中は活動的に過ごす ・ストレスを溜めない ・寝る直前まで飲まない ・快眠できる寝室環境を作る
決まった時間に寝る・起きる
人の体には体内時計というものがあります。休みの日にダラダラと遅い時間まで寝ていたり、夜更かしをすると体内時計が乱れてしまいます。できるだけ決まった時間に就寝、起床できるようにしましょう。
睡眠時間にこだわらない
「若い時は◯時間眠れた」「◯時間以上寝ないと寝不足になってしまう」などと睡眠時間にこだわるのをやめましょう。始めにお伝えしたように、加齢とともに睡眠時間は短くなるのが普通です。また1日◯時間以上寝なくても、数日単位、週単位で睡眠が取れていればオッケーくらいの気持ちでいることが大切です。
「何時間以上寝なくては」という概念に縛られてしまうと、それがプレッシャーとなりさらに眠れなくなります。
朝日を浴びる
夜勤をしているような方でなければ、たいていの方は朝起きると思います。このときに窓越しでも良いので朝日を浴びるようにしましょう。朝日にあたると体が目覚め、体内時計も整えてくれます。
また日中もできれば日光にあたる時間を取りましょう。太陽光など強い光には体内時計を調整する働きがあります。光を浴びてから14時間目以降に眠気が生じてきます。
「早寝早起き」ではなく「早起きすることが早寝につながる」のです。逆に夜に強い照明を浴びすぎると体内時計が遅れて早起きが辛くなります。
日中は活動的に過ごす
働き盛りの方は嫌が応にも日中は活動的に過ごされていると思いますが、高齢者は特に注意が必要です。前の日の寝不足で眠気が残っているからといって、昼寝をしすぎたり、横になってばかりいるとさらに夜眠れなくなります。多少眠気が残っていても、日中は家事や散歩など活動的に過ごすようにしましょう。
働き盛りの方もできれば適度な運動を行うと、さらに寝つきが良くなります。汗をかくことでストレス物質が発散されますので一石二鳥です。ただし、激しすぎる運動はかえって寝つきを悪くするので気をつけてください。
ストレスを溜めない
ストレスや緊張は眠りにとって大敵です。ストレスを溜めないというのは一番難しいかもしれませんが、趣味活動や運動など自分なりのストレス解消方法を見つけましょう。
寝る直前まで飲まない
適度な飲酒は百薬の長などと言われていますが、過度な飲酒は睡眠の質を悪くします。また寝酒をすると寝付きが良くなるように思えますが、効果は短時間しか続きません。飲酒後は深い睡眠が減り、早朝覚醒が増えてきます。
アルコールには利尿作用もあるため、夜間トイレに起きることも中途覚醒につながります。少なくとも眠る2時間前には飲むことをやめましょう。
快眠できる睡眠環境をつくる
寝具や照明など寝室の環境を整えます。寝る前の照明は少し暗めの方がリラックスと眠気を誘いますので、暖色で明るさを調整できるものがオススメです。
人は人生の1/3は眠っていると言われますので、布団や枕などは自分にあったものを使いましょう。最近では枕をオーダーで作ってくれるところもありますので、多少高価であっても利用する価値はあると思います。
私が実際に使用しているオススメのマットレスを紹介します。西川の「ムアツふとん」です。寝具で有名な西川ですが、こちらのマットレスは体圧を分散してくれて本当に寝やすいです。私は腰痛持ちのため、夜中寝ていると朝には腰が痛くなっていたのですが、これに変えてからは腰の痛みもなく朝まで眠れるようになりました。
他にもトゥルースリーパーなど色々なマットレスが出ていますので、お店で実際に寝てみるなどしても良いかもしれませんね。
また温度や湿度にも注意が必要です。睡眠のための適温は20℃前後で、湿度は40%-70%くらいに保つのが良いといわれています。
夏場はエアコンなどで調整しましょう。冬は暖房によって乾燥しますので、加湿器を上手に利用してください。
睡眠薬の使用には注意を
色々試したけど、どうしても眠れなくて辛い。または日中眠くて仕事や活動に支障が出てしまうという方は、かかりつけの病院または精神科、心療内科に相談してみましょう。
精神科や心療内科というとなかなか行く勇気が出ないかもしれませんが、不眠に関する知識や治療に関しては専門ですので一度受診してみることをおすすめします。ただし医師とも相性があると思いますので、自分にあった先生を見つけることが大切です。
最近ではより自然な睡眠をもたらしてくれる睡眠薬がありますので、一時的に使用することは良いと思います。ただ薬に頼って漫然と飲み続けることは良くありません。医師と相談しながら、不眠の原因を改善していきましょう。
また特に高齢者では薬の代謝機能が低下していますので、薬がいつまでも残ってしまい朝のだるさや健忘症などの症状が出やすくなります。また薬の副作用でふらついて転倒、骨折なども実際にありますので、高齢になった方は安易に睡眠薬に頼らないようにしましょう。
まとめ
今回は不眠対策についてお伝えしてきました。年齢とともに睡眠時間は短くなり、眠りも浅くなってきます。昔のような睡眠を追い求めると、それがストレスとなりさらに不眠に陥るといった悪循環となりますので、眠れない日があってもあまり気にしないようにしましょう。
また不眠が1ヶ月以上続くなど病気が疑われるときには専門医を受診して、早めに治療することが大切です。
今回紹介したような対策を実践して、良い眠りとなる参考にしていただけたらと思います。
ここまで読んでくださってありがとうございました。これからもみなさんに役立つ健康情報をお伝えしていきたいと思います。
こちらの記事も参考にしていただけたらうれしいです。