さえとも保健師のブログ

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家族の認知症を疑ったらすべき3つのこと

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 親や夫、妻の様子がいつもと違う。

 家族の認知症を疑った時にはまず何をすれば良いのでしょうか。
 認知症は初期段階で気づくことが大切ですが、離れて暮らしていると知らないうちに進行していることも。

 今回は家族の認知症を疑った時にまず何をすれば良いのかについてお伝えします。

認知症の初期症状

 認知症には高齢になってから発症するものと「若年性認知症」と呼ばれる働き盛りの年代の方が発症するものがあります。

 いずれも初期症状がありますが、高齢になってから発症した場合は通常の「もの忘れ」と見分けがつきにくい場合があります。

 <もの忘れと認知症の違い>
・「朝に何を食べたかを忘れる」→もの忘れ
 「朝ごはんを食べたことを忘れる」→認知症
・「孫の名前が思い出せない」→もの忘れ
 「孫がいたかどうかわからない」→認知症
・「約束の時間を忘れる」→もの忘れ
 「約束したこと自体を忘れる」→認知症

 というように、「できごとそのものを忘れる」のが認知症、「できごとは覚えているけど、内容が思い出せない」のがもの忘れです。

 しかし初期の認知症では本人が「忘れたことを取り繕う」ことが多く、周囲が気づくのが遅くなりがちです。

 他には、「考えるスピードが遅くなる」「同時に2つ以上のことをすると混乱する」「ATMや券売機などの機械を使うことができなくなる」「道に迷う」といった症状が出てきます。

 それでは認知症を疑ったら、家族はまず何をすればよいのでしょうか。

認知症を疑ったらすべきこと

専門医を受診する

 いきなり認知症外来を受診することは困難かもしれませんが、今後のことを考えても専門医を受診することが大切です。

 初期のアルツハイマー認知症では、進行を遅らせるための薬があります。
 また、診断がついていれば要介護認定を受ける時にも認知機能の低下を示すことができます。

 お住いの地域の「もの忘れ外来」がある病院を探してまずは受診してみましょう。
 全国の物忘れ外来はこちらから検索できます。→もの忘れ外来検索

 脳の血流などを調べるための核医学検査は医療保険を利用しても自己負担は高額になります。そして、よくわからない画像を並べられて「〇〇型認知症ですね」などと診断されるかもしれません。

 現在のところ認知症を治す薬はありませんので、「〇〇型認知症」と診断されてもそれほど重要ではありません。

 大切なのは認知症の症状が出ているのは、他の病気が原因でないか」がわかればいいのです。

 認知症のような症状が出る病気は、脳腫瘍や甲状腺機能低下症、栄養障害、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫などがあります。家族に認知症の症状が出た場合は、まずこれらの疾患との鑑別が必要です。
 もしこれらの病気が見つかれば、すぐに治療が必要です。

本人が受診を拒否する場合

 本人が受診を拒否しそうな場合は、「脳ドックに行こう」などと伝えると受け入れてくれることが多いです。

 そのほかの方法としては、本人の「めまい」などの身体症状を理由に、まずは脳神経外科を受診しても良いかもしれません。
 その際にあらかじめ医師へ認知症の症状があることを伝え、先生から本人へもの忘れ外来の受診をすすめてもらうという方法もありますが、こちらは医師が協力してくれる場合に限ります。一度受診前に電話で相談してみると良いでしょう。

 本人を無理やり病院へ連れて行くことはできませんので、拒否が強い場合には機会を待つ必要があります。
 ずっと受診を拒否していたのに、急に「私、なんだかおかしいみたいだから、病院へ行く」と言いだすことも。

65歳以上なら要介護認定を受ける

 認知症の進行程度にもよりますが、家族が近くにいてサポートすれば十分に生活できるようであれば要介護認定は今すぐには必要ないかもしれません。

 しかし認知症は少しずつ進行していきますし、家族が遠方に住んでいて一人暮らしをしているなど、心配な場合は受けておくことをおすすめします。

 認知症の進行を予防するために大切なこと「人との関わりを持ち続けること」です。自宅に閉じこもりになって誰とも話さない日が続いていると、認知症は進行していきます。

 本人の性格もあると思いますが、できるだけ外に出て人と話すことが大切です。今は新型コロナの流行でなかなか難しいところですが、町内会の活動や介護予防教室に参加したり、デイサービスに通って運動や趣味活動などをすると脳の血流も良くなって認知症予防ができると言われています。

 介護認定の申請方法は、お住いの自治体に申請用紙がありますので記入して提出します。インターネットで申請用紙をダウンロードして郵送でも可能です。家族が代わりに出すこともできます。

 ただし、認定を受けるためには「主治医の意見書」が必要になるため、かかりつけ医がいない方は、一度どこかの医療機関を受診する必要があります。意見書自体は申請した役所から主治医へ書類が届きますので、家族や本人が書いてもらって持参することはありません。詳しくはお住いの市区町村の介護保険課に問い合わせましょう。

介護の相談先へ連絡を

 介護認定の申請をしていても、していなくても、何か不安なことがあれば介護の相談先へ聞いてみましょう。

 高齢者に関するさまざまな相談窓口は、各市町村にある地域包括支援センターです。

 介護認定の申請のことや認知症で困っていることなど、高齢者に関することなら何でも相談できます。
 希望すれば自宅へ訪問して相談にのったり、介護サービスの調整を行ってくれます。

 どこに連絡したらよいかわからない場合は、介護認定申請の窓口で教えてくれます。

認知症を持つ人への対応方法 

 自分の身近な人が認知症になったら、とてもショックで悲しいことだと思います。
 同じことを何度も聞いたり、今までできていたことができなくなったり、一緒にいてイライラすることも多いでしょう。

 「認知症になると何もわからなくなる」とよく言われますが、そうではありません。認知症になった本人が一番辛いことを理解しましょう。

 また認知症に一番良くないと言われているのは「ストレス」です。
 失敗をして周囲にとがめられたり、無視されたりすることでストレスが増強し、認知症はさらに進行していきます。

 認知症の方の具体的な対応方法についてはまた後日お伝えしますが、基本的には「やさしく接すること」です。
 忘れてしまうのは病気のせいです。本人が悪いわけではありません。
 何度も同じことを聞いても、聞いたこと自体を忘れてしまうので、何度でも答えてあげる必要があります。

 もし介護する人が対応に疲れてしまうようなら、介護サービスを利用して休む時間を作りましょう
 自分が疲労困憊だったら、相手にも優しくすることは難しいですよね。
 1人で介護することは負担が大きいですので、できれば家族や周囲の人に協力してもらうことも大切です。

 また認知症の方を介護している家族が集まる「家族の会」「認知症カフェ」なども最近では増えてきていますので、そういったところに参加して、日頃の悩みを共有したり話を聞いてもらってストレスを溜めないようにすることも大切です。

まとめ

 今日は家族の認知症を疑ったらすべきことについてお伝えしました。

 高齢化はこれからどんどん進んでいきます。2025年(令和7年)には65歳以上の5人に1人が認知症を持っていると言われています。

 それに反して介護する側の人員不足により、将来は認知症になったからといってすぐに施設に入ることは困難になると予想されています。

 認知症はもはやめずらしい病気ではありません。認知症の方が安心していつまでも住み慣れた地域で暮らせるように家族だけでなく地域で支えていく必要が出てくる時代が、もうそこまでやってきています。