高齢者の杖の種類と選び方~目的や身体に合ったおすすめ
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高齢になって足の筋力が落ちてきたために、転倒することが多くなったり長い距離を歩くことが難しくなっていませんか。
また膝や腰の痛みや骨折によって歩行が困難になっている高齢者は非常に増えています。
でも、いざ杖を使ってみようと思っても、どんな杖が良いのか、どうやって使えばよいのかよくわからないという方が多いのではないでしょうか。
今回は目的や身体状況に合わせた杖の選び方についてお伝えします。
杖の種類と特徴
歩行機能が低下した時に助けになる杖は、正しく選んで使用することが大切です。
身体に合わない杖を使用すると腰や膝など様々なところに負担がかかったり、転倒の原因になってしまうことも。
まずは杖の種類と特徴について知っておきましょう。
一本杖(T字杖)
高齢者が使用する杖の中で最もスタンダードな形です。
これは腕の力があり、歩行バランスが比較的よい方に向いています。
一般的なステッキ型と体重のかけやすいT字型があります。
最近は軽量やおしゃれな柄の入ったものなど、様々なタイプの杖を選ぶことができます。
頻繁に使うことがないのであれば、旅行などに携帯しやすいような2折や4折のタイプもあります。
多脚杖
脚が3本または4本に分かれていて着地面積が広く安定しています。
1本杖では不安定になってしまうような方に向いています。
体重をかけても倒れないので立つ姿勢の悪い方の歩行訓練に適していますが、脚の全面をしっかりと床に付ける必要があります。
脳卒中後の片麻痺の歩行訓練や変形性股関節症、関節リウマチの方にも利用されています。
前腕固定型杖(ロフストランドクラッチ)
前腕を支えるカフと体重を支えるグリップを備えた杖です。
腕の力も使えるので、握力が十分にない方には有効なタイプです。
下半身麻痺者、下肢に体重をかけられない骨折、捻挫、股関節症、下肢切断、片麻痺の人などの歩行補助にむいています。
ただし寒い時期に厚めのコートを着たりした時には腕が入らないという難点があります。
松葉杖
松葉型をした2本の支柱と腋下支持バーがある杖で、最も重い荷重に耐えられる杖です。
基本的には2本1組で使用します。
脚にかかる負担を軽減したい場合に使用します。
骨折などによる術後に必要な期間のみ使用することが多く、高齢者が日常的に使うことはあまりないでしょう。
使用時には腕で支え、脇で支えないようにします。
適切な杖の長さは
1本杖や多脚杖は前に付いたときに軽くヒジが曲がる程度の長さにしましょう。
外出時に使用するのであれば、靴を履いて高さを調整します。
前腕固定型杖は腕を自然にたらしたときの手首の位置にグリップ(持ち手)が来るように調整します。
松葉杖は脇から指2~3本分すき間を空けた高さに脇あてがくるようにし、グリップ(持ち手)は一歩前に付いたときに軽くヒジが曲がる高さに調整します。
いずれの場合も、購入の際に福祉用具の相談員もしくは病院の理学療法士など専門家に相談しましょう。
目的別の杖の選び方
屋内ではいずれの杖も使えますが、外出時では「一本杖」もしくは「ロフストランドクラッチ」が移動が楽だと言えます。
多脚杖は凹凸のある道では均等に地面に着くことが難しいので、利用するのであれば接地面の小さな3点杖や可動式の杖がおすすめです。
長距離を歩く時だけ使うという場合には、折り畳みの杖も持ち運びに便利です。
反対に杖だけでは長距離は歩けないという場合には、シルバーカーの利用も検討してみましょう。
シルバーカーも様々なタイプが出ており、折り畳み式や途中で座って休むことができたり、荷物を入れるかご付きなどもあります。
身体状況別の杖の選び方
手でグリップをしっかり掴んで支えることができる方は1本杖や多脚杖がおすすめです。
1本杖ではふらつきが強い場合には多脚杖の方が安定します。
手のしびれや筋力低下でグリップを掴む力が弱い、または片麻痺のある場合にはロフストランドクラッチ型が良いでしょう。
それでも歩行が安定しない場合には歩行器の利用が適しているかもしれません。
杖の正しい使い方
杖を購入しても使い方がよくわからないと言う方がよくいます。
正しく使わなければ、かえって転倒のリスクが高くなることも。
正しい使い方について知っておきましょう。
杖は患側(悪い方の足)の反対に持つ
杖を持つ手は利き手とは関係ありません。
麻痺や痛みのある足の反対側(健側)に持ちます。
歩き方の基本
まずは杖を先に前に出します。
次に出した杖に体重をかけながら、患側(悪い方の足)を一歩前に。
最後に両足を揃えます。
介護保険が利用できる杖・シルバーカー(歩行器)
杖の中には介護保険を利用してレンタルできるものがあります。
一本杖は残念ながら介護保険を利用することができないため、福祉用具を取り扱っているお店などで購入しなければなりません。
多脚杖やロフストランドクラッチ、歩行器、歩行車、シルバーカーなどはレンタル可能となります。
杖や歩行器を借りるまでの流れ
要介護認定を受ける
これらを借りるには、まず要介護認定の申請を行う必要があります。
詳しくはこちらの記事に詳しく書いています。
担当のケアマネジャーを探す
要介護認定の結果が出たら、担当のケアマネジャーを探します。
要支援であればお住いの「地域包括支援センター」へ要介護であれば「居宅介護支援事業所」へ連絡しましょう。
介護保険を利用して福祉用具を借りるためには、ケアプランが必要になります。
ケアマネジャーはサービス調整やケアプランの作成をしてくれる人です。
ケアプランは自分や家族でも作ることができますが、介護保険制度に詳しいケアマネジャーへお任せしたほうがスムーズだと思います。
福祉用具事業者が訪問
自治体に登録している指定福祉用具販売事業者が自宅へ訪問して、生活の様子や身体状況に合わせた杖や歩行器などの提案をしてくれます。
たいていはお試しできますので、1週間程度使ってみて大丈夫であれば借りましょう。
介護保険で借りた福祉用具はレンタルですので「体に合わなかった」「壊れてしまった」「使わなくなった」時には別のものを借りたり、返却することができます。
ケアマネジャーがケアプランを作成
レンタルする物が決まったら、ケアマネジャーがケアプランを作成します。
また実際に介護保険を利用することが決まれば、ケアマネジャーの所属する事業所および福祉用具事業所との契約がそれぞれ必要になります。
サービス担当者会議の開催
ケアプランが出来上がったら、再度自宅へ訪問して福祉用具事業所と「サービス担当者会議」を行います。
これは介護サービスを利用するにあたって、本人の課題や目標を関係者間で共有するためにあり、プランの変更や更新ごとに開催する必要があります。
この会議が終わったら、ようやく福祉用具を借りることができます。
またサービスが開始されたら、ケアマネジャーによる状況確認のため利用者宅へ毎月電話や訪問があります。
まとめ
歩行が難しくなった高齢者にとって杖は身近な福祉用具です。
杖があることで、安心して屋内外で移動することができ、閉じこもり予防にもなります。
ぜひ自分に合った杖を見つけて、正しく利用しましょう。
もしも使い方がわからない時には、整形外科の理学療法士やデイサービスでも指導してくれる場合がありますので相談してみましょう。